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昔の蓮田
ふるさと歴史探訪
鉄道唱歌にみる蓮田
- 地理教育鉄道唱歌(三)
- 奥州・盤城線編 上野(東北線)?青森?(常磐線)上野)
- 汽車は烟(けむり)を噴き立てて 今ぞ上野を出でてゆく
ゆくへは何(いず)く陸奥(みちのく)の青森までも一飛に) - 王子に着きて仰ぎみる 森は花見し飛鳥山く
土器(かわらけ)投げて遊びたる 江戸の名所の其一つ - 赤羽すぎて打ちわたる 名も荒川の鉄の橋その水上は秩父よりく
いでて墨田の川となる - 浦和に浦は無けれども 大宮駅に宮ありてく
公園ひろく池ふかく 夏のさかりも暑からず - 中山道と打わかれ ゆくや蓮田の花ざかり
久喜栗橋の橋かけて わたるはこれぞ利根の川 - 末は銚子の海に入る 板東太郎の名も高しみよや白帆の絶間なく
のぼればくだる賑(にぎわい)を - 次に来るは古河間々田 両手ひろげて我汽車を
万歳と呼ぶ子供あり おもへば今日は日曜か - 小山をおりて右にゆく 水戸と友部の線路には
紬(つむぎ)産地の結城あり 桜名所の岩瀬あり - 左にゆかば前橋を 経て高崎に至るべし足利桐生伊勢崎は 音に聞えし養蚕地
- 金と石との小金井や 石橋すぎて秋の田を
立つや雀の宮鼓 宇都宮にもつきにけり - いざ乗り替へん日光の 線路これより分れたり二十五マイル走りなば 一時半にて着くといふ
- 日光見ずは結構と いふなといひし諺(ことわざ)も
おもひしらるる宮の様 花か紅葉か金襴(きんらん)か - 東照宮の壮麗も 三代廟(さんだいびょう)の高大も
みるまに一日(ひとひ)日ぐらしの 陽明門は是かよと - 滝は華厳の音たかく 百雷(ひゃくらい)谷に吼え叫ぶ裏見霧降とりどりに
雲よりおつる物すごさ - 又立ちかへる宇都宮 急げば早も西那須野
ここよりゆけば塩原の 温泉わづか五里あまり - 霰(あられ)たばしる篠原と うたひし跡の狩場の野
ただ見る薄(すすき) 女郎花(おみなえし) 殺生石はいづかたぞ - 東那須野の青嵐 ふくや黒磯黒田原ここは何(いづ)くと白河の
城の夕日は影赤し - 秋風吹くと詠じたる 関所の跡は此ところ
会津の兵を官軍の 討ちし維新の古戦場 - 岩もる水の泉崎 矢吹須賀川冬の来て
むすぶ氷の郡山 近き湖水は猪苗代 - ここに起りて越後まで つづく岩越(がんえつ)線路あり工事はいまだ半にて 今は若松会津にて
- 日和田本宮二本松 安達が原の黒塚を
見にゆく人は下車せよと 案内記にもしるしたり - 松川すぎてトンネルを いづれば来る福島の町は県庁所在の地
板倉氏の旧城下 - しのぶもじずり摺り出だす 石の名所も程近く
米沢ゆきの鉄道は 此町よりぞ分れたる - 長岡おりて飯坂の 湯治にまはる人もあり越河(こすごう)こして白石は
はや陸前の国と聞く - 末は東の海に入る 阿武隈川も窓ちかく
尽きぬ唱歌の声あげて 躍り来れるうれしさよ - 岩沼駅のにぎはいは 春と秋との馬の市
千里の道に鞭(むち)うちて すすむは誰ぞ国のため - 東北一の都会とて 其名しられし仙台市伊達政宗の築きたる
城に師団は置かれたり - 阿武隈川の埋木も 仙台平(ひら)の袴地(はかまじ)も
皆この土地の産物ぞ 見てゆけここも一日は - 愛宕の山の木々青く 広瀬の川の水白し
桜が岡の公園は 花も若葉も月雪も - 多賀の碑(いしぶみ)ほどちかき 岩切おりて乗りかふる汽車は塩竈(しおがま)千賀の浦
いざ船よせよ松島に - 汽車に乗りても松島の 話かしまし鹿島台
小牛田(こごた)は神の宮ちかく 新田は沼のけしきよし - 水は川瀬の石こして さきちる波の花泉
一ノ関より陸中と きけば南部の旧領地 - 阿部の貞任(さだとう) 義家の 戦ありし衣川
金色堂を見る人は ここにておりよ平泉 - すぎゆく駅は七つ八つ 山おもしろく野は広し
北上川右にして つくは何(いづ)くぞ盛岡市 - 羽二重おりと鉄瓶は 市の産物と知られたり岩手の山の峰よりも
南部の馬の名ぞ高き - 好摩川口沼宮内(ぬまくない) 中山小鳥谷(こづや)一の戸(いちのへ)と
すぎゆくままに変りゆく 土地の言葉もおもしろや - 尻内(しりうち)こせば打ちむれて 遊ぶ野馬の古間木(ふるまき)や
今日ぞ始めて陸奥(みちのく)の 海とは是かあの船は - 野辺地(のへじ)の湾の左手に 立てる岬は夏泊とまらぬ汽車のすすみよく
八甲田山も迎へたり - 渚に近き湯野島を 見つつくぐれるトンネルの
先は野内か浦町か 浦の景色の晴れやかさ - 勇む笛の音いそぐ人 汽車は著(つ)きけり青森に
むかしは陸路廿日(はつか)道 今は鉄道一昼夜 - 津軽の瀬戸を中にして 函館までは二十四里ゆきかふ船の煙にも
国のさかえは知られけり - 汽車のりかへて弘前に あそぶも旅の楽しみよ
店にならぶは津軽塗 空に立てるは津軽富士 - 帰りは線路の道かへて 海際づたひ進まんと
仙台すぎて馬市の 岩沼よりぞ分れゆく - 道は磐城をつらぬきて 常陸にかかる磐城線(いわきせん)ながめはてなき海原は
亜米利加までやつづくらん - 海にしばらく別れゆく 小田の緑の中村は
陶器産地と兼ねて聞く 相馬の町をひかへたり - 中村いでて打ちわたる 川は真野川新田川
原の町より歩行して 妙見まうでや試みん - 浪江なみうつ稲の穂の 長塚すぎて豊なる
里の富岡木戸広野 広き海原みつつゆく - しばしばくぐるトンネルを 出てはながむる浦の波
岩には休む鴎(かもめ)あり 沖には渡る白帆あり - 君が八千代の久ノ浜 木奴美(こぬみ)が浦の波ちかくをさまる国の平町
並(ならび)が岡のけしきよし - 綴(つづら) 湯本をあとにして ゆくや泉の駅の傍(そば)
しるべの札の文字みれば 小名浜(こなはま)までは道一里 - 道もせに散る花よりも 世に芳ばしき名を留めし
八幡太郎が歌のあと 勿来(なこそ)の関も見てゆかん - 関本おりて平潟(ひらかた)の 港にやどる人もあり岩の中道ふみわけて
磯うつ波も聞きがてら - あひて別れて別れては またあふ海と磯の松
磯原すぎて高萩に 仮(か)るや旅寝の高枕 - 助川さして潮あびに ゆけや下孫孫も子も
駅夫の声におどろけば いつしか水戸は来りたり - 三家の中の勤王の その名知られし水戸の藩わするな義公が撰(えら)びたる
大日本史のその功(いさお) - 文武の道を弘(ひろ)めたる 弘道館の跡とへば
のこる千本(ちもと)の梅が香は 雪の下よりにほふなり - つれだつ旅の友部より わかるる道は小山線
石岡よりは歌によむ 志筑(しづく)の田井も程ちかし - 間もなく来る土浦の 岸を浸せる水海(みずうみ)は霞ヶ浦の名も広く
汽船の笛の音たえず - 雲井の空に耳二つ 立てたる駒の如くにて
みゆる高嶺は男体と 女体そびゆる筑波山 - 峰にのぼれば地図一つ ひろげし如く見えわたる常陸の国のここかしこ
利根のながれの末までも - 松戸をおりて国府の台 ゆけば一里に足らぬ道
真間の手児名(てこな)が跡といふ 寺も入江にのこるなり - 車輪のめぐり速(すみやか)に 千住大橋右にみて
環(たまき)の端の限なく ふたたびもどる田端駅 - むかしは鬼の住家(すみか)とて 人のおそれし陸奥(みちのく)のはてまでゆきて時の間に
かへる事こそめでたけれ - いはへ人々鉄道の ひらけし時に逢へる身を
上野の山もひびくまで 鉄道唱歌の声立てて