閏戸の式三番

式三番は能楽の「翁(おきな)」から起こったもので「豊年を祈り」、「繁栄を祝う」めでたい舞で、白い面の翁と千歳(せんざい)と、黒い翁面をつけた三番叟(さんばそう)とが、次々に舞います。はじめに、翁が出て儀礼的・呪術的な舞を行い、その後に三番叟が、くだけた調子で面白く演じ、わかりやすく説明して見せます。豊年や繁栄を願うものにふさわしく、種まきや鳥飛びなどが舞の中に含まれています。翁芸は能楽の中でも特に神聖視される舞で、種々な形で神事や芸能として伝承されています。
また、能楽の「翁」は歌舞伎舞踊にもなっており、それは「三番叟もの」といわれるもので、祝儀用として新春などに上演されます。閏戸の式三番は、毎年10月第2土曜日(平成10年以前は10月14日)の鎮守愛宕(あたご)神社の秋祭りに行われます。昭和30年11月1日、埼玉県指定無形民俗文化財(昭和52年3月29日指定替え)に指定されています。

由来:
地元の伝承以外に式三番の由来を伝えるものは残っていませんが、それによると「宝永年間(1704年〜1710年)に閏戸の秀源寺(しゅうげんじ)の僧が、愛宕明神(あたごみょうじん)を祀ったとき、五能三番の舞を復活した」といい伝えられています。

座席順:
座席順は舞台に向かって右側奥に翁、その手前に千歳、これに対座して翁の真向かいに三番叟、その手前にやや下がって足つけ(前に三番叟の役をやった人)、大鼓(おおづつみ)が並びます。翁、千歳の後にも各々の親(先代)が座ります。舞台の正面奥の囃子座(はやしざ)には向かって左側から小鼓(こづつみ)、頭取、小鼓、笛の順に並び、黒幕の後ろに地謡(じうたい)が位置します。

奉納の順序:

  1. 演技に先立ち、役者と二つの面が愛宕神社に詣でます。
  2. 「面さばき」役の人により舞台上が清められます。「面さばき」は千歳の親に当たります。
  3. 幕が開くと小鼓・笛の囃子方は既に着席しています。千歳が白式尉と黒式尉の面が入った面箱を持って登場し、観衆に向けて披露します。面箱が披露されると、次いで「翁」役が独特の摺り足で登場して所定の位置に着席します。千歳は着席した太夫の前に面箱を静かに置きます。
  4. 「三番叟」が登場します。三番叟は登場時から実にダイナミックな舞を披露しますが、それは直面舞(揉の段)にも引き継がれます。
  5. 囃子が始まり翁と地謡の謡となります。
  6. 「鳴るは滝の水…」と謡いながら千歳が登場し、千歳の舞が始まります。この間に、翁役は親から白式尉面が着けられ、「翁」つまり神に変身します。
  7. 千歳の舞が終わると、翁と地謡の謡となります。その後、翁が立ち上がり歩き出すと、同時に三番叟も立って歩き出し、両者向かい合って一礼します。.一礼の後、三番叟は元の座に戻りますが、翁は正面に進み出て舞い始めます。
  8. 翁は大地を語る祈祷の詞を謡った後、踏み鎮めの舞を舞います。最後に、お祝いの踊りとしてめでたい舞(萬歳楽)を舞うと、扇を頭上に捧げます。翁は舞い終わると白式尉の面を外して面さばきに戻します。そして、入場した時と同じように摺り足で退場します。
  9. 翁の舞が終了すると、大鼓が登場します。
  10. 三番叟が立ち上がり、舞い始めますが、このときは面をつけていません(揉の段)。地の悪霊を鎮める舞を狂わんばかりに舞います。
  11. 直面の舞が終わり、いったん座に戻った三番叟が面さばきにより黒式尉の面をつけ、神となり再登場します。千歳も再登場し、舞台正面で両者の問答となります。
  12. 問答が終わり、千歳から鈴を受け取った三番叟が、再び舞い始めます(鈴の段)。神となった「三番叟」の舞も激しいものです。鈴は邪鬼を祓う祭具ですが、三番叟はその鈴を天地四方に響かせて邪鬼を祓い、精霊を奮い立たせます。舞い終わると、「面さばき」により黒式尉の面が外されます。
  13. 直面に戻った「三番叟」が丁寧に挨拶して退場すると、囃子方も一礼して次々に退場します。そして幕が引かれ、「閏戸の式三番」は閉幕します。

構成:
式三番を行う人たちは、閏戸の若衆(わかしゅう)といわれている人たちです。若衆というのは各家の総領である20歳位から42歳までの男子で構成されています。しかし、現在では構成員の確保が難しいので、総領というのは要件になっていません。
千歳、翁、三番叟や、笛、大鼓、小鼓の人たちを役者と呼び、その他の若衆は地謡にまわります。また、先代の役者を親、先々代をオジイサンと呼びます。親は役者の指導に当たり、立役(翁・千歳・三番叟)の親は当日舞台に控えて介添え役をします。千歳の親は面さばき、三番叟の親は足つけと称します。役者に支障があって出られないときは、親が代わりに演じます。

面について:
式三番では、2種類の翁面が使用されます。翁がつける面は、白色尉(はくしきじょう)といって、天下太平を象徴するものです。この面は、切り顎が特徴で、長寿・福徳の神を人の姿に表現したものといわれ神聖視されています。対して、三番叟がつけるものは、黒色尉(こくしきじょう)といって、五穀豊穣を表しています。この面の特徴は、名前が示すように色が黒いことです。また、白色尉と同様に切り顎になっています。三番叟(黒色尉)は式三番独特のもので、最後に舞う田の神で、野趣にあふれた翁となっています。

はすだの歴史を観る

黒浜貝塚 元荒川の桜 芥川龍之介の撰文碑 黒浜沼
寅子石 久伊豆神社 円空仏 閏戸の式三番
山ノ神沼 見沼代用水 綾瀬貝塚 蓮田市文化財展示館
関山貝塚 高虫氷川神社彫刻 伊豆島の大蛇 備前堤


   
     トップページに戻る